熊本大学「有用植物×創薬システムインテグレーション拠点推進事業」
創薬は人々の健康と文化を保持するために欠かすことのできない科学技術です。歴史的にみると、人類に馴染み深く、多様性にあふれる”天然物”に基づいた創薬が1980~1990年のトレンドでした。その後、科学の進歩に伴い、様々なモダリティの変化が推進されてきました。現存する医薬品の約半数は、天然物に由来するとともに、依然として天然物由来の伝承・伝統医療が世界の約8割の人々に活用されている事実に基づき、我々はその後格段の進歩を遂げた分析・評価技術を駆使して、当時は発見できなかった医薬品シーズがまだ眠っていると確信し、本事業では、今、あえて天然物創薬に着眼したのです。
事業化PJ2を推進するために、研究室の枠を超えた12チーム体制を構築しました(右図:アルファベットはチーム名の頭文字)。事進捗管理体制の効率化を図り、これからの時代に持続可能な、出口化(マネタイズ)のためのユニークなアカデミア創薬プラットフォームを完成させることに成功しました。
これまでに同定した治療薬開発成分による新規治療薬の開発やさらなるスクリーニング評価を実施中。
左右にスクロールできます
K 慢性腎臓病(アルポート症候群)
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A アミロイド病(アルツハイマー病)
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H AIDS(HIV感染症)
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N NPC(ニーマンピック病C型)
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アンメットメディカルニーズ熊大の強み、独自性・信頼性天然物創薬の候補物質 | ||||
病態・治療 | 遺伝性腎炎。腎不全移行を余儀なくされ、透析しか治療手段がない。 | アミロイドが脳内に蓄積による認知症。根治療法はない。 | HIVの感染により起こる免疫不全症候群。根治療法はない。 | 脂質などの蓄積に伴う遺伝性の神経障害・代謝疾患。根治療法はない。 |
UpRodが目指す治療法 | IV型コラーゲンタンパク質の分泌を促す薬の開発が急務。 | 蓄積したアミロイドを直接分解する薬の開発が急務。 | 潜伏感染したHIVを再活性化し、体内から除去する薬の開発が急務。 | 細胞内のコレステロールの輸送を正常化する薬の開発が急務。 |
候補物質 | 真菌由来環状ペプチドおよびその誘導体の導出。 | 海綿由来ナフトキノン化合物の導出。 | 伝承・伝統医療用途のある天然物由来の化合物の導出。 | 熊大が世界に誇るシクロデキストリン誘導体の導出。 |
薬を作るために最も重要な要素の一つは、治療薬候補を、ヒト臨床試験へ効率的に橋渡しするための、信頼性の高い疾患モデル生物の開発を行うことです。UpRodでは、治療薬開発を促進するためのモデルを活用した協業・ビジネス展開を企図して、様々な創薬評価ツールの作成に取り組んでいます。
治療薬候補を、ヒト臨床試験で効率的に使用するために重要な製剤化技術やDrug Delivery System (DDS) 技術を開発し、治療薬開発を促進するとともに、 技術を活用した協業・ビジネス展開を企図し、オリジナル製剤ラボの構築を行っています。