熊本大学「有用植物×創薬システムインテグレーション拠点推進事業」

UpRodとは

プロジェクト

事業化プロジェクト PJ2治療薬候補・評価技術の開発と
導出関連事業

治療薬候補・評価技術の開発と導出関連事業

天然物から、薬を作る!
~なぜ、今天然物創薬か?

 創薬は人々の健康と文化を保持するために欠かすことのできない科学技術です。歴史的にみると、人類に馴染み深く、多様性にあふれる”天然物”に基づいた創薬が1980~1990年のトレンドでした。その後、科学の進歩に伴い、様々なモダリティの変化が推進されてきました。現存する医薬品の約半数は、天然物に由来するとともに、依然として天然物由来の伝承・伝統医療が世界の約8割の人々に活用されている事実に基づき、我々はその後格段の進歩を遂げた分析・評価技術を駆使して、当時は発見できなかった医薬品シーズがまだ眠っていると確信し、本事業では、今、あえて天然物創薬に着眼したのです。

1.世の中に薬が必要な疾患を優先的に研究する

アンメットメディカルニーズとは?
 アンメット・メディカル・ニーズとは、医療現場のニーズがあるにも関わらず、満足のいく治療薬が存在するかしないかの指標となる指数です。 熊本大学では,アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患に対する治療薬開発のためのソフト面・ハード面での体制が充実しています。
UpRodが現在、注目している疾患
 UpRodでは、①アンメットメディカルニーズが高い、②本学が、当該疾患研究領域において世界屈指の研究体制を有する、③創薬評価技術の独自性・信頼性が高い、④天然物創薬の候補物質を有する、という観点から、下図の四疾患を重点対象疾患として、研究開発を推進しています。大学としては珍しいPJベースのチーム体制(学内の様々な分野の研究者が参画)により研究開発が進んでいます(UpRodオリジナル次世代型アカデミア創薬スタイル)。
研究体制の特徴
  • オール熊本大学体制で、共通のミッションを共有し、アカデミア目線・製薬会社目線のダブルエッジのきいた次世代型創薬研究体制
  • 創薬成功確率を上げるための「ユニークな評価系」、多様性を持った「未利用天然物資源」を活用し、前臨床研究までをスムースに実施
  • 製薬会社開発経験者とアカデミア研究者の連携により、「死の谷」を越えるための前提を考慮し、ギャップを埋めるための研究実施体制
特徴 イメージ

 事業化PJ2を推進するために、研究室の枠を超えた12チーム体制を構築しました(右図:アルファベットはチーム名の頭文字)。事進捗管理体制の効率化を図り、これからの時代に持続可能な、出口化(マネタイズ)のためのユニークなアカデミア創薬プラットフォームを完成させることに成功しました。

2.具体的標的疾患の事業紹介、出口目標、進捗

これまでに同定した治療薬開発成分による新規治療薬の開発やさらなるスクリーニング評価を実施中。

左右にスクロールできます

K
慢性腎臓病(アルポート症候群)
A
アミロイド病(アルツハイマー病)
H
AIDS(HIV感染症)
N
NPC(ニーマンピック病C型)
アンメットメディカルニーズ熊大の強み、独自性・信頼性天然物創薬の候補物質
病態・治療 遺伝性腎炎。腎不全移行を余儀なくされ、透析しか治療手段がない。 アミロイドが脳内に蓄積による認知症。根治療法はない。 HIVの感染により起こる免疫不全症候群。根治療法はない。 脂質などの蓄積に伴う遺伝性の神経障害・代謝疾患。根治療法はない。
UpRodが目指す治療法 IV型コラーゲンタンパク質の分泌を促す薬の開発が急務。 蓄積したアミロイドを直接分解する薬の開発が急務。 潜伏感染したHIVを再活性化し、体内から除去する薬の開発が急務。 細胞内のコレステロールの輸送を正常化する薬の開発が急務。
候補物質 真菌由来環状ペプチドおよびその誘導体の導出。 海綿由来ナフトキノン化合物の導出。 伝承・伝統医療用途のある天然物由来の化合物の導出。 熊大が世界に誇るシクロデキストリン誘導体の導出。
アミロイド病(アルツハイマー病)
本評価系で、約5,000種類の熊本オリジナル天然物バンクの評価を実施し、その中から、治療薬候補化合物を複数同定するに至りました。
AIDS(HIV感染症)
本評価系で、約10,000種類の熊本オリジナル天然物バンクの評価を実施し、その中から、治療薬候補化合物を複数同定するに至りました。
慢性腎臓病(アルポート症候群)
本評価系で、約10,000種類の熊本オリジナル天然物バンクの評価を実施し、その中から、治療薬候補化合物を複数同定するに至りました。
事例紹介:事例2
NPC(ニーマンピック病C型)
UpRodは、CDの医薬領域研究をリードしてきた背景を受け、その実績を基盤に、より有効性・安全性に優れる新規CD誘導体を治療に応用するための研究開発を実施しています。

3.薬を作るための、信頼性の高い評価系を作る

薬を作るために最も重要な要素の一つは、治療薬候補を、ヒト臨床試験へ効率的に橋渡しするための、信頼性の高い疾患モデル生物の開発を行うことです。UpRodでは、治療薬開発を促進するためのモデルを活用した協業・ビジネス展開を企図して、様々な創薬評価ツールの作成に取り組んでいます。

信頼性 イメージ
製薬会社等 その他の会社 大学等 研究機関

4.薬の最終開発に必要な製剤プラットフォームを充実させる

治療薬候補を、ヒト臨床試験で効率的に使用するために重要な製剤化技術やDrug Delivery System (DDS) 技術を開発し、治療薬開発を促進するとともに、 技術を活用した協業・ビジネス展開を企図し、オリジナル製剤ラボの構築を行っています。

プラットホーム イメージ